異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

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新潮社
価格: ¥420

異邦人 (新潮文庫)のレビュー

不条理さと、ある種の正直さの極致
本質的な意味で自分自身に正直であったがゆえに、世界の不条理さの中に囚われた男。
読者は主人公を別世界の、自分とは何の関係もない人間として、完全に切り離すことができるだろうか?
この小説は、それを理解できない世界へ、作者が静かに投じた一石でもある。

前半は物語の雰囲気をつかむのに少し苦労するが、後半は引き込まれるようにすらすら読める。
読むべき本でありながら読まなくてもいい本
万人が読むべき内容ではないと思います。少なくとも今の社会に何も疑問を持っていない人が読んでも退屈な内容のはずです。もし心の健康を損ねたことがない人が読むと、内容が理解できないばかりか激しい毒になりかねない内容だと思います。ただ、心の健康を損ねた私にとっていい薬となった本です。

自分と社会の間に隔たたりを感じているなら読んでみたらいいと思います。
社会と個人



主人公はちょっと変わってはいるものの、
殺人さえしなければ、このまま生きて死ねた人で
実はどちらかというと脇役的な人物な気がする。

主人公が考えていることはキリスト教がどうでもよく、
特にこれといって信じるものがない日本人にとっては
なんとなくさらっと入ってくる考え方で、
しかしそこにアメリカ人っぽい不思議な論理的センスみたいなものがなく
ただ自然をあるがままに身に受けながら生きている感じが
なんとも健全に見える。

事実彼は人を殺したかったというより
ある時引き金を引くことになった、
というような淡白さでことをこなしているし、
何事にもそのような姿勢で臨んでいるような気がする。

この自分への固執のなさという一種の人間的美徳がかえって
他人や宗教や社会とのつながりを欠いてしまったことに
この主人公の運命的な不運があるわけで、
とにかくこの主人公は不運だとしか言い様がない。


彼は能動的に他人に危害を加えることもなく、
ただただ与えられた仕事はこなし、
人の動作や言葉をいつも観察して、
その場その場で適切な自分でいようとしている。

しかしそこに社会への理解がなかったから、
ある観点からすると行動はちぐはぐな、"死刑適格"なものにうつる。

とにかく不運な人としか言い様がない。
「異邦人」とは誰か!
 自分に正直に生きることで、「悲劇」をむかえるという話です。少し現実離れし過ぎているというか、小説っぽくなり過ぎているきらいもありますが、再読したくなる名作です。
 主人公が「異邦人」なのか周囲の者それぞれが「異邦人」なのか、さらには、主人公の最後は「悲劇」なのかそうではないのかなどいろいろ考えさせられます。
 薄い本と言うか、中編と言うより小編小説といってもいいくらいの分量なので読むのに苦労はありません。一生の間に一度は是非読んでおきたい名作です。
 
自分が描かれているようで驚いた
ビックリするほど主人公の生き様が私自身に似ていて驚きました。

私が感じるということは、他にも多くの共感者がいるのでしょう。
それだけの共感者が得られるにも関わらず現実の世界で彼のように振舞うと異邦人となってしまう世界の歪みが見事に表現されている。

何度も読み返すであろう名作。
読むごとに深い感じ方が出来るであろうことを期待させる本です。